一心日記

愛媛・松山にある整体 一心庵の日記です。日々の事、身体の事いろいろと書いてます。

信念 科学の子 〇〇

ペンギンハイウェイを読破しました。

この作品は森見作品の中でも異色作との事でちょっと手をつけないでいました。
舞台が京都でない事、主人公がヘタレ大学生じゃない事などとありました。

しかし、日本SF大賞本屋大賞3位だったりと評価は高いようでした。

実際に読み始めてみるとなんだって感じ。
今までの森見作品とは違うのかなって思ってたけど
それなりに森見テイストは残ったままでした。

食べ物屋さんに例えると老舗和菓子店が洋菓子を作った感じ?でしょうか??
お店の看板の素材や技術を生かした洋菓子
こんな例えじゃーより分かりにくいでしょうか??

主人公は小学4年生の男の子。歯科医の先生からは「科学の子」と言われるほど
研究が好きでいろんな研究をしているんです。
その研究が物語の中心だったりもします。

主人公のキャラ設定が凄くいいんです。この辺りはやっぱり森見作品だなって思っちゃいます。
科学の事言われるほどの子供で勉強熱心、絶対に泣かないと決めた子供。
いろいろと起きた事をノートにメモを取る、研究課題に繋がる事もしっかりとメモる。
物事を論理的に考える事を常としているんです。
そういう人物なので感情の欠如というか感情にまつわる事を解釈するのが苦手なようです。

いろいろそういう節があるのですが
一番のエピソードはプールの時間にいたずらをされて海水パンツを脱がされるのですが
プールから上がれないのですがこのまま上がらないといじめっ子がそれを見て喜ぶ。
そうなるとそういう事がエスカレートする。そういう事を意に介さない態度を示す事で
いじめっこが萎えるだろうとすっぽんぽんのままプールから上がって平然とするんです。
まー、小説の話とはいえすごいエピソードなんです。

物事を論理的に考え感情を排除してって仏様ですか??って感じです。この少年。

その分、人の気持ちを理解できない少年だったりもするのです。

僕がこの小説の面白さをこういう所に見出しているのですが
アマゾンレビューを読んでみたのですがこれを書いている人はいなかったです・・・
森見氏もきっとここは大事にしている部分じゃないかって思うんですが。
というのも物語の最後に「信念」というキーワードが出てくるのです。

いろいろな事があって少年の成長がここに垣間見えるような気がしました。
成長っていうのか変化なのか??

クラスのいじめっこはスズキ君帝国の皇帝・スズキ君。
まー、ジャイアンみたいな子。
ウチダ君は主人公の相棒で一緒に研究をしている。
ハマモトさんはクラスのマドンナでいて途中から一緒に研究する仲間。

ウチダ君は主人公と同じ趣味を持ちながらも情緒的な事や人の気持ちが理解できる子。
主人公の欠けてる部分を補っていて凸凹がちょうど埋まる感じでウマが合うんだろうなって思うんです。
そんなウチダ君の研究が面白い。パラレルワールドに繋がる世界が・・・

途中まで読んでてい全然そんな事を感じさせてなかったのに
彼の研究からこの物語がそういう匂いを醸し出していくんです。面白い。

主人公とハマモトさんが天才肌なものだから平凡なウチダ君はやや地味な感じがするのだけど
なかなかのものでした。

主人公のお父さん、お母さんもなかなか良いんです。
こういう少年が育つ背景にはこういう両親がいるんだろうなって思うとね。

あと大事な登場人物、お姉さん。
少年がとにかく大好きな人。歯科衛生士をしているのだけど謎の多い人なのです。
物語は少年の住む街に突如としてペンギンが現れるのですが
そのペンギンを作り出しているのがお姉さんなのです。
これが物語の中心として進んでいきます。SFっていうかファンタジーですよね。

最後は結構感動だったりします。

ちなみに本を読むといつも登場人物のキャスティングをするのですが
今回はほとんどが子供のなので唯一お姉さんだけをキャスティングしてみたのですが
僕の中では今一番旬の波留かなって感じでしょうか?
ただ○○の大きさが…