一心日記

愛媛・松山にある整体 一心庵の日記です。日々の事、身体の事いろいろと書いてます。

赤ヘル1975

赤ヘル1975という小説を読み終えました。

鯉党なら是非読みたい一冊。
題名からも分かるように赤ヘルつまりカープ、1975はカープが初優勝した年。
著者は重松清、少し前に観に行った映画「アゲイン」の原作者でもあり
今、日曜日にやっている「流星ワゴン」の原作者でもあります。

今回のドラマの中では結構気に入って見ているドラマだったりします。
どうやら彼の作品は好きなのかも。

奇想天外な発想や展開というよりも分かる分かるという感じでしょうか
何となく先は読めるんだけど感動してしまうんです。

赤ヘル1975は広島育ち広島在住の中1のヤスとユキオ
東京から広島へ転校してきたマナブのお話です。

ヤスとユキオはもちろん大のカープファン。
マナブは巨人ファンだけど次第にカープファンになっていきます。

まー、大まかにはこんな展開なんですが
そういうストーリーがメインかと思いきやいろんな題材が盛り込まれていて
大きくは戦争、原爆という事が描かれています。

読んでいるうちにカープファンの自分、学生時代を広島で過ごした自分
1975年に5歳であった自分いろんな自分と照らし合わせてこの本を読んでいきました。

僕がカープファンになったのは19歳の時、友達に誘われてカープの試合を観に行った時からです。
友達が下宿先の大家さんにチケットを2枚もらったという事で誘ってもらったのです。
その時はまだカープファンでもなく「ま~、広島に住んでいるんだから一度ぐらいは
プロ野球の試合を見にってもいいかな」ってぐらいの気持ちでした。

年齢違えど本を読みながらこういう自分のシーンも思い出したりしました。

試合は中日戦だったのですが一方的に負けていたのに
終盤にかけてどんどん点を取り返していって・・・だけど、あと1点が足りなくて・・・負けました。
だけど、代打長内、代打西田と出る代打が打つんです。
その時のカープの応援がすごくて!!軽い気持ちで観に行ってたはずの自分も盛り上がってしまって
それ以来カープファンですよ。
そういう今の自分があるのもあの時、友達の誘いがあったからこそ!!本当に感謝です。

1975年の話はなんとなく知っている程度でそれほどは知らなかったのですが
今回のこの本のおかげでよく知る事が出来ました。

市民球場の話も出てくるのですが今はマツダスタジアム
僕の中でも市民球場は思い出なんです。
外野スタンドに照明灯が立っているなんてのが出てくるのですが
そうだったなーなんて懐かしく思ったりして。
僕が広島にいたころに外野スタンドからその後ろ移動されたんです。
小説の中には西陽がまぶしいから試合開始時間を遅らせてとあるのですが
僕らの時代の市民球場には西陽避けのスライド式の看板があったんですけどね。
そんな事も思い出したりして。

いろいろ思い出したりして考えているともうカープファン歴25年になるんだなって。
長いようで短いようで僕よりももっともっと年季の入ったカープファンは沢山いますしね。

最近男気と騒がれている黒田選手。
本当にカープファンとしては嬉しい限り。

だけど、この本読んでいろいろ分かったんだけど
黒田のような選手が出てくる土壌がこの広島にカープにはあるんだなって事。
重松清カープファンらしくそれが良く分かるほど
いろんな事が書かれています。
25年ぐらいでは分からなかった事が沢山出てきています。
そんな熱い思いが積み重なってのカープなんだなって思っちゃいました。

そんなカープの生まれる土壌には切っても切れないのが原爆の被災地であるという事。
広島市はそういう特別な土地なんだなと思いました。

正直、僕は怖くて原爆資料館に入った事がないんです。
広島に住んでいた4年間も一度も、その後毎年のように広島には行っているのに
一度もないんです。ある意味ちょっと目をそむけている自分もいましたし
この小説の14年後の広島はそれをあまり感じさせないものもありました。
1975年は原爆投下後30年、30年も?30年しか??経った時代。
原爆の影響が薄れつつもあり、そしてまだ被災者も沢山おられた時代。
多くの人が家族や親戚に被害者の方がいて心に傷を背負いながらも強く生きておられる時代だったようです。

先日、録画していた朝まで生テレビを見たのですが
テーマが「原発再稼働問題」でした。

う~~ん、また堂々巡りか…なんて思いながら見ておりました。
ただ、最後の言葉が重くのしかかったんです。
福島のとあるNPO代表の方が出ていて最後に一言どうぞと促されて言ったのが
「ここの会話は東京の話ですね、福島の話ではないですね。」でした。
まー、福島の事を置き去りで物事を話しているという意味だと思います。

この話と小説に出てくる一節がすごく重なって。凄く考えさせられました。
人は前に進むために忘れる事も必要でしょう。
だけど、同じ過ちを犯さないためには忘れてはならない事もあると思います。
福島の事はほんの少し前の事なんですけどね。
自分のところは関係ないから知らないじゃーダメですよね。
ましてや東京は当事者なんだから…と勝手に思ってしまいます。

単にカープの物語ではなく重い話から陽気な話といろんな事が絡み合ったストーリーで
本当に面白い小説でした。